取引行動規範(CoC)認証事業 運用マニュアル

「日本アパレルソーイング工業組合連合会」

初版:2024年7月17日

―はじめに―

これまで縫製業の技能実習生には、最低賃金の不遵守、割増賃金の未払い、違法な時間外労働を強いられるといった法令違反があったのは事実です。
今後、我々は自らが人権侵害をしないことに加え、取引関係を通じて人権侵害を助長しないよう努めます。
これらを、我々遵守する為、この度「日本アパレルソーイング工業組合連合会-取引行動規範(Code of Conduct 呼称:CoCと言う)」を作成しました。
このCoCの基本要求事項に沿い、今後事業活動を通じて人権尊重への取り組みを実践し、協働して人権の尊重を推進することを目指します。
そして、本方針に沿った私たちの活動は、以上を受け自主宣言として「適正且つ公正な取引に向けて」、ここに「取引行動規範(Code of conduct)」を法令遵守の基に制定し、導入実証する為の監査レビューし認証事業を実施する事といたしました。
また、人権基準は、日本繊維産業連盟(繊産連)が2022年7月にILO(国際労働機関)と共同で策定した「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」を基にすることとしました。
会員並びに縫製企業の皆様には、是非この機会に本事業にご賛同賜りご協力をお願い申し上げます。

第Ⅰ章 「認証事業」

1.「取引行動規範(CoC)認証事業」主体
「認証事業」は、「日本アパレルソーイング工業組合連合会(JAIF)」 (以下、「連合会」という。)が行う。

2.「認証」の定義 「認証企業」は、以下の要件を満たすものをいう
 主体企業が国内で行われていること。企業・個人事業主(以下、「企業」という。) 及び最終商品を企画・販売する企業が、いずれも連合会の定める「取引行動規範(CoC)ガイドライン」(※を参照)を基に、Web及び現地監査を受けること。
まず、Web監査により「適合」とみなされた企業が認証対象となりますが、一部又追加の確認が必要な事案事項が発生した場合は、指定された「監査員」の現地監査を受け、監査結果が適合と認められた場合、認証要件を満たすこととする。
  認証企業は、事業所単位に発行する(例A(株) 東京工場、名古屋工場、埼玉工場が認証対象の場合、各事業所を1拠点として計3拠点の申請が必要となる。)

第Ⅱ章 「認証」の具体的なプロセス

「認証」を受けようとする縫製企業は、まず日本国内で自らの企業活動がおこなわれ、従業員を雇用していることが前提となります。

以下 認証までのプロセスフロー図

以下手続き業務フロー

(1)「認証」の申請
「認証」の申請する企業は、連合会にメールにて問い合わせし「CoCガイドライン」閲覧申し込みを行う。 連合会が許諾後、CoCガイドラインの閲覧を許可する。申請企業は、認証基準に合致していると自らが判断できるよう、CoCガイドラインの要求事項と自工場の実態と照合チェックを行う。申請企業は、自らその要求事項を満たしていると判断した後、「認証審査申請書」(様式―1)と申請企業は「CoC遵守宣言書」(様式―2)の2つの申請・宣言書類を連合会に提出を行う。
本事業の手順に従って連合会にPDFにてメール申請をする。 また、申請者は申請書提出後に連合会が発行する請求書に記載された申請料を所定の口座に振り込まなければならない。
(口座:銀行名 支店名 預金口座の種類 口座番号) なお、支払った申請料は、認証されなかった場合でも返還されない。

(2)「認証」の審査
連合会が定める第三者機関でWeb監査と第三者監査員の現地監査を受けることを当該申請者に対して要請し、当該第三者機関に対して、当該申請者の監査を行うことを申請する。これらの監査報告書を基に連合会は評価審査をする。

(3)「認証」の決定・認証書の交付  
連合会は、認証申請料の支払いを確認し、審査基準に適合していることを「評価委員会」を通じ確認の上、検証出来れば「認証書」を交付する。認証書は、事業所単位で発行される。

(4)認証企業の公表  
連合会は、認証を行った場合には、当該企業の名称、所在地、代表者氏名、事業概要、認証の有効期間等を公表する。

(5) 申請書類の保存
認証を取得した企業は、認証に使用した「認証審査申請書」及び「CoC遵守宣言書」の写しを、有効期間中保管し、連合会等から求められた場合にはこれを提示しなければならない。

(6)認証の有効期間と更新手続  
認証の有効期間は、認証日から2年間とし、「認証書」に記載される。2年後継続して認証を取得したい場合「更新認証」を受けなければならない。

(7)認証書の再発行
紛失・災害等により認証書の再発行を希望する場合は、連合会に申し出ることにより再発行を受けることができる。

(8)監査・調査指導  
連合会は、認証の信用を保持するため、第三者機関に命じて、認証企業に対して、認証基準に適合しているかどうかの観点から、いつでも監査・調査指導を行わせることができる。認証企業が第三者機関の監査等を拒否した場合には、連合会は、認証の取消を行うことができる。なお、認証有効期間中に認証が取り消しとなった場合や申請者自ら認証を取り下げた場合、認証申請時に支払われた申請料は返還されない。

(9)申請事項の変更
「認証書」の認証内容に、次の変更が生じた時は、 「認証事由変更(中止・廃止)届出書」を直ちに連合会に届け出て、変更手続きを行わなければならない。  
① 「申請者名」「代表者名」「住所」等の記載内容  
② 認証基準に適合しない事由の内容  
③ 企業活動の中止又は廃止に関わる場合は、何時から事由が発生するか日時と内容  
なお、上記①~③により変更した「認証」 の有効期間は、その元となる認証の有効期間満了の日までとする。

第Ⅲ章 申請料・現地監査

1.「認証」取得に必要な費用
  「認証」取得に関わる申請料 組 合 員190,000円(消費税10%別)
  非組合員195,000円(消費税10%別)
  なお支払った申請料は、申請者自ら手続きを断念した場合や認証に至らない場合でも返還されない。

2.現地監査に必要な費用
  128,000円+消費税10%、旅費交通費及び宿泊料金は、現地監査が発生した企業が支払う。

3.申請料・現地監査料の数、事業所単位の考え方
  ①本社と工場が同一敷地内にある場合:一事業所 申請料×1
  ②2つの工場が別々の所在地の場合 :二事業所 申請料×2
  (なお本社については、製造機能を有している場合は、本件対象の1事業所となる)

第Ⅳ章 違反時等の措置

認証及証書使用に関し、連合会の定める諸ルールに違反する行為等があった場合には、違反行為等を是正し適正な状態に回復することを目的として、以下に定める措置を講じる。

1.「認証」 の取得に関する違反等
(1)故意の虚偽申請記載及び故意の虚偽報告により認証を取得した場合
連合会は、認証を申請した企業が、自ら認証基準を満たさないと知りつつ虚偽をWeb上(申請書、申告、報告、書面内容、記録の虚偽記載、添付など)に記入、申告し取得したことを知った場合には、速やかに認証を取り消すとともに、当該企業 に対して5年間の認証資格停止処分を行い、企業名等を公表する。
(2)認証取得後に認証基準を満たさないこととなった場合
認証企業が認証基準を満たさなくなったことを知った場合には、その旨速やかに認証の取り消し内容を連合会に通知する。連合会は認証取消を行った旨を公表する。
(3)第三者機関等による監査・調査指導に応じない場合
連合会は、認証企業が第三者機関等による監査や調査指導に応じない場合には、認証を取り消し、5年間の認証資格停止処分を行うとともに、企業名等を公表する。

第Ⅵ章 基準

認証判定基準
6(シックス)ストライク事項
以下の6つを最重要要求事項とし、この要求事項に不適合が発見された場合、他の全ての要求事項項目も不適合となる。
また、以下の6つの最重要要求事項以外で不適合項目が発見された場合は、是正項目となり改善・是正が一定期間内で行われなければならない。

1, 就労最低年齢以下‐児童労働の採用があり労働実態があった場合
2, 最低賃金以下の雇用‐最低賃金未満、残業代の未払い、性差による差別的報酬等(但し福利厚生費については法令・規制に基づく)が発見された場合
3, 強制労働下の就労‐世界的に禁止されている「人権保護と劣悪労働環境下事項」が発見された場合
4, 懲罰と差別の存在‐“虐待やいやがらせハラスメント、その他いかなる懲罰的な措置”と“人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、社会的出身等の差別”は人権の面で強く禁じられている、その事項が発見された場合
5, 安全で健康的な労働環境‐劣悪な職場環境下で労働者の安全衛生と健康の側面で法令違反が発見された場合
6, 結社の自由及び団体交渉権‐労働者と雇用者の対話と協力を促進する基本的な人権を脅かす懸念が発見された場合

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